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【オリンピズム】冷たい戦いを超えて(18)国民を敵に回したのは不誠実

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【オリンピズム】
冷たい戦いを超えて(18)国民を敵に回したのは不誠実

スピードスケート女子5000メートルで銅メダルを獲得したナタリア・ボロニナ(右)の胸には「OAR」の文字が浮かぶ=16日、江陵オーバル(ロイター) スピードスケート女子5000メートルで銅メダルを獲得したナタリア・ボロニナ(右)の胸には「OAR」の文字が浮かぶ=16日、江陵オーバル(ロイター)

 ただ、NOCの参加判断が焦点でも、政治の後ろ盾をどう考えるかによって、対応は変わる。モスクワ五輪での欧州各国の動きをみると、政治とスポーツの亀裂は好ましくなくとも、五輪後に修復すればよいとの信念が感じられた。

 欧州各国のNOCは「五輪は国家間の競技ではない。参加しても特定の政治的立場を受け入れることを意味しない」と訴えた。英政府閣僚が「すべて終われば、利害はどうであっても関係は修復されるべきだ」と言ったのもこうした主張があってのことだ。

 モスクワ五輪に出場した英国のセバスチャン・コーを追い続けた英紙記者、デービッド・ミラーはコーと見解を異にしようとも、こう書いた。

 「アフガニスタンでの殺戮(さつりく)の一方でソ連の外交政策を承認することは道義的におぞましく、政治的にも賢明ではない。ボイコットは足並みがそろわず、効果は限られていても実行しないよりはましだ。忘れてはいけないのは、中途半端なボイコットは完全に失敗するということである」

 その一方でミラーは「英政府が現実を見ないで国民の大多数を敵に回したのは不誠実だった」と指摘した。五輪後に関係修復に向かうことができるのも世論の存在が大きかった。五輪と政治をめぐる議論では社会の成熟もまた問われる。=敬称略(蔭山実)

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