【宮家邦彦のWorld Watch】進化する日本の対外防衛協力 自衛隊の多国間演習参加は新常態、シーレーン維持へ責任
自衛隊の米国武器調達は正式には「対外有償軍事援助(FMS)」と呼ばれる。Foreign Military Salesの略だが、米国から武器を買うだけの行為がなぜ「援助」なのだろう。これは30年前筆者がFSX(次期支援戦闘機)担当官となった当初抱いた素朴な疑問でもあった。
答えは結構ややこしい。日米間にはMDA(相互防衛援助)協定があり、在京米国大使館にはFMS専門の部署まである。米国は米国製武器売却を日本に対する有償の「援助」と考えているのだ。当時の何とも割り切れない思いは今も鮮明に覚えている。
しかし、時は流れた。昨年3月、日本はフィリピンに海上自衛隊の練習機TC90を無償供与した。マレーシアやインドネシアにも機材や技術の供与を検討している。7月には日印首脳が海自の救難機US2の対印売却や両国間の防衛装備品・技術協力について話し合った。日本にとっては「協力」であり、「援助」とは呼ばない。だが、米国から見れば立派な防衛相互援助だ。30年前を知る筆者にとっては隔世の感。時代は変わりつつあるのだ。
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