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【一筆多論】安全管理が遅れたまま投機が先行すれば、仮想通貨はバブルで終わる 井伊重之

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今年1月、仮想通貨「NEM」が流失したコインチェック本社が入るビル=東京都渋谷区(桐山弘太撮影)
今年1月、仮想通貨「NEM」が流失したコインチェック本社が入るビル=東京都渋谷区(桐山弘太撮影)

 人類最初のバブル経済事件は、17世紀のオランダで発生したチューリップバブルだろう。海外から渡ってきた珍しいチューリップが貴族らの人気を集め、それをきっかけに人々がチューリップの球根を買いあさるようになった。

 思惑先行で価格は上がり続け、ピーク時には1個の球根でアムステルダムに豪邸が買えるほど暴騰したという。だが、実体のないバブルは短期間で崩壊し、多くの破産者を生んだ。このバブルの間、チューリップ農家は球根の盗難を警戒して寝ずの番を続けていたらしい。

 仮想通貨取引所大手、コインチェックが顧客から預かっていた580億円相当の仮想通貨「NEM(ネム)」について、外部からの不正アクセスで流出させた事件も夜中に起きた。わずか20分で被害額の大半が海外の口座などに送金され、同社が残高の急減を認識したのは半日近くもたってからだった。

 もちろん悪いのは、不正な手段で他人の財産を奪った側だ。だが、テレビCMで顧客を募りながら、基幹システムをネットから遮断するという基本さえ怠るなど、安全意識が決定的に欠如していたコインチェックの責任も重大だ。

 驚いたのは顧客保護を軽視する姿勢だけではない。同社が26万人にのぼる被害者全員に対し、約460億円を現金で補償すると表明したことも別の意味で衝撃的だった。返済の原資には会社の現預金などを充てるという。

 NEMの相場は昨年1年で250倍以上にも跳ね上がり、CM効果で取引高も急増していた。流出事件で相場は下落したが、創業6年の新興企業が一体、どれだけの含み資産を保有しているのだろう。同社に立ち入り検査に入った金融庁は、資産管理体制だけでなく、財務状況なども徹底的に調べるべきだ。

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