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【宮家邦彦のWorld Watch】事実に基づかない誤解が多いイージス・アショアの実態 「受け入れ地を日本人が誇りと思うような丁寧な説明を」

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 ●イージスは迎撃システム イージスとは、高度情報処理型誘導能力により日本を攻撃するミサイルを迎撃するシステムだ。200を超える目標ミサイルを同時に追尾、10個以上を迎撃できるという。使用されるフェーズドアレイレーダーは、旧来の回転式ではなく、侵入するミサイルの方向のみにビーム走査が可能なため、迎撃精度が飛躍的に高まっているそうだ。

 ●電磁波は危険なのか イージスのレーダーは前述の通り指向性が高く目標に照射するビームの量が少ないので、放出される電磁波も従来型よりはるかに少ない。人体に悪影響があるなら、そもそも採用されなかっただろう。

 ●北は山口・秋田を狙うのか 可能性ゼロではないが最初に狙うだろうか、筆者はいつもこう答える。理由は簡単。北朝鮮が日米韓に対し一発でもミサイルを発射すれば、その時点で第2次朝鮮戦争が始まり、総攻撃を受けて北朝鮮は崩壊する。つまり北朝鮮はミサイルをそう何発も撃てないのだ。されば北が最初の攻撃でイージス・アショアを狙うとは思えない。他の目標を狙った方が効果は大きいのだ。そもそも、イージス・アショアを狙って飛んでくるミサイルほど迎撃しやすいものはない。山口や秋田が北の最初の攻撃目標になる可能性は低い。

 ●イージスは日本人が運用する 米国の兵器システムであり米軍との緊密な連携が必要なことは事実だが、イージスの運用はあくまで自衛隊・日本政府の判断で行われる。

 ●イージスは攻撃できるのか イージス艦には、さまざまな能力があり、ミサイル迎撃以外にも一定の攻撃は可能。他方、イージス・アショアは目標捕捉・迎撃誘導能力の高いレーダーと迎撃ミサイルを中心とする防衛システムだ。それ自体に北朝鮮を攻撃する能力があるとは思えない。

 ●住宅地に近いから危険か 秋田市の候補地が住宅地に近いのは事実だが、前述の通り、同地が攻撃される可能性が低く、日本海側に照射されるビームが生む電磁波も少ないことも考慮すべきだろう。

 やはり最大の問題は地元への説明だ。内容はもちろんだが、重要なのはそのタイミングである。国家安全保障事項だから、全て公開というわけにもいかない。この種のシステム配備には予算、調達、部隊編成など多くの準備が必要だが、最初の公式説明先は通常、地方公共団体の首長だろう。地元国会議員にもいずれ説明は必要だが、現職ならともかく元議員へ事前説明は難しい。

 今後とも地元の懸念を払拭しつつ、国民が日本防衛のためこの種の防衛システムを受け入れてくれる「地元」を「日本の誇り」と思えるような丁寧な説明が望まれる。

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【プロフィル】宮家邦彦

 みやけ・くにひこ 昭和28(1953)年、神奈川県出身。栄光学園高、東京大学法学部卒。53年外務省入省。中東1課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを歴任し、平成17年退官。第1次安倍内閣では首相公邸連絡調整官を務めた。現在、立命館大学客員教授、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。

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