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【風を読む】交番のおまわりさんに「無償の功名」をみた 論説副委員長・別府育郎

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【風を読む】
交番のおまわりさんに「無償の功名」をみた 論説副委員長・別府育郎

 1時間後、交番から「別府さんの携帯ですか。ありました」と連絡があった。聞けば近隣署に電話を入れて該当するさいふを捜し、二手間三手間をかけてこちらの連絡先を割り出してくれたのだという。

 礼を言い、この話、書きたいと頼んだが「最初の電話を切るのが早かった反省があるだけです」と頑(かたく)なだった。だから場所も詳しい経緯も書かない。ただ交番の人情、使命感、心意気は十分、今に生きていた。

 弊紙のOBでもある司馬遼太郎は、新聞記者の理想像をこう書いている。《自分の仕事に異常な情熱をかけ、しかもその功名は決してむくいられる所はない。紙面に出たばあいはすべて無名であり、特ダネをとったところで、物質的になんのむくいもない。無償の功名主義こそ新聞記者という職業人の理想だし同時に現実でもある》

 自分も新聞記者なのだが理想にははるか遠く、ただ交番のおまわりさんに「無償の功名」をみて感激するばかりだった。

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