産経ニュース

【正論】アジアに求められる先人の知恵 胡耀邦氏はチベット、ウイグルなど「連邦制」を模索していた 文化人類学者・静岡大学教授・楊海英

ニュース コラム

記事詳細

更新

【正論】
アジアに求められる先人の知恵 胡耀邦氏はチベット、ウイグルなど「連邦制」を模索していた 文化人類学者・静岡大学教授・楊海英

文化人類学者・静岡大学教授 楊海英氏(寺河内美奈撮影) 文化人類学者・静岡大学教授 楊海英氏(寺河内美奈撮影)

 天安門広場で日本人青年たちと踊る前に、私は「世界の屋根」チベット高原を放浪していた。チベットの政教一致の指導者ダライ・ラマ14世が中国によって59年に追放され、「偉大な共産党が建設した楽園」を見たかったからだ。

 「解放」前のチベットには約7000カ所の寺院があり、そこには11万人もの僧侶が仏教哲学の研鑽(けんさん)に励んでいた。しかし、中国政府はチベットを「ヨーロッパの中世よりも暗黒な農奴制の社会で、奴隷たちはダライ・ラマ一味に抑圧、搾取されている」と宣伝し、軍を進めた。その結果、寺院はわずか十数カ所をのぞき破壊され、僧侶も7000人だけを残し、他は全員、還俗(げんぞく)を命じられた。

≪民族問題の解決目指した胡氏≫

 廃虚と化したチベットを旅し、人民の不満を私は肌で感じていた。胡氏はその頃にチベットを訪れ、「野蛮なチベット人を文明人に改造する」ために中国内地から派遣されてきた幹部を全員、撤退させる政策を決定。「立ち遅れた辺境チベット」で頑張っても歓迎されないので、早く内地に帰還したい、と現地の中国人(漢民族)幹部たちも喜んで撤収作業にとりかかっていたのを私は目撃した。

続きを読む

「ニュース」のランキング