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【日本の未来を考える】「人手不足」と「人余り」が共存する〝ミスマッチ〟が日本経済を苦しめる 学習院大教授・伊藤元重 

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【日本の未来を考える】
「人手不足」と「人余り」が共存する〝ミスマッチ〟が日本経済を苦しめる 学習院大教授・伊藤元重 

東京駅丸の内北口での通勤風景(本文とは関係ありません)=東京都千代田区(鈴木健児撮影)  東京駅丸の内北口での通勤風景(本文とは関係ありません)=東京都千代田区(鈴木健児撮影) 

 人手不足がますます深刻になってきている。最新データである昨年11月の全国平均の有効求人倍率は1・56という高さで、これは昭和49年以来の高水準だ。人手不足が顕著な業種では、この有効求人倍率が特に高い。建設躯体(くたい)工事10・85、介護サービス4・04、飲食などの接客・給仕4・15など。これだけ見ると人手不足は本当に深刻なようだが、一方で有効求人倍率が非常に低い職業もある。事務的職業は全体では0・47で、一般事務に限ると0・36という低さである。単純な人手不足というよりは、人手不足と人余りが共存するミスマッチこそが日本の労働市場の問題なのだ。

 人手不足ばかりが強調されるようだが、人余りも深刻な状況である。一般事務サービスの有効求人倍率の低さには驚かされるが、なんとなく納得のいく話だ。大手の金融機関は1万人を超える規模の人員削減を想定した経営計画を発表している。銀行の多くの事務作業は情報システムやAI(人工知能)に置き換えられるだろう。技術革新によって、多くの仕事が消失しようとしている。この流れは遠い将来の話ではなく、いま足元で起きていることなのだ。事務的職業の有効求人倍率が異様に低いのも、そうした変化を反映したものと考えるべきだろう。

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