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【正論・年頭にあたり】皇位継承儀礼は伝統に則して 東京大学名誉教授・小堀桂一郎

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【正論・年頭にあたり】
皇位継承儀礼は伝統に則して 東京大学名誉教授・小堀桂一郎

東京大学の小堀桂一郎・名誉教授=2004年11月24日、東京本社14階役員応接室(小松洋撮影) 東京大学の小堀桂一郎・名誉教授=2004年11月24日、東京本社14階役員応接室(小松洋撮影)

 御譲位の結果として即日発生する重要事案が新帝の踐祚(せんそ)の儀である。この「踐祚」の概念は明治憲法下の大正天皇、昭和天皇の皇位継承の折には生きて作動してゐたのだが今上天皇の平成の御代替りに際しては何故か顧みられなかつた。それを今回は復活せしめるべきである。そこで初めてその年の秋に斎行される「即位」式の御大典の一連の儀礼、殊に大嘗祭の有する意味と重要性が鮮明になる。

 あるべき姿を取り戻す

 超憲法的措置の結果として生ずる国事である故に、今回特に考へておくべき事として、平成の御代始めに於いて露呈した如き政教分離原則への恟恟(きょうきょう)たる気兼ねは不要である、といふよりもむしろ其を鋭意克服すべきである。平成の即位の礼ではその大尾を飾る大嘗祭に於(お)いて、宗教色を薄めよう、或(ある)いは排除しようとの小心な配慮が露骨に表れて却つて醜態をさらしたとの悪評が専らであつた。今回こそ平成の前例に拘束される事なく、皇室の祭祀儀礼に於ける古来の伝統に基いての宗教性を堅実に再生させる重要な機会である。

 元来、現行憲法が70年来引摺つて来た降伏協定文書其儘(そのまま)の被占領状態を清算して日本国のあるべき姿を取り戻す、といふのが安倍晋三政権の公約であり、国民が現政権に寄せてゐた期待の焦点であつた。この期待から前文と第9条2項が告白してゐる国家主権不在状態の解消と共に20条3項の厳格すぎる政教分離規定の緩和が必須の要請となる。況(ま)して後者の項の拘束力は宗教的施設・学校等への国費支出を以て事実上完全に破綻してゐる。その様な天下周知の欠陥法規なのだから、皇室祭祀の問題に限つて今更この規制に拘泥するのは、却つて法理の公正性を蹂躙(じゅうりん)する反理性的な形式主義である。

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