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【正論】
急増する外国人観光客 トランプ大統領と安倍晋三首相の蜜月 日本は「グローバル化」を経済の原動力とすべきだ 双日総合研究所チーフエコノミスト・吉崎達彦
今年はリーマン・ショックから10年になる。アメリカの一証券会社の経営破綻が、「100年に1度」の国際金融危機を招き、実体経済にも深刻な打撃を与えた。当時のことは、拭い去れない記憶として残っている。
景気は16年春頃が「ボトム」
世界経済は2008年を境にくっきりと二分される。リーマン・ショック以前が「BC」(ビフォー・ザ・クライシス)、それ以降が「AC」(アフター・ザ・クライシス)である。
思えばBCは結構な時代であった。03年から07年までの5年間で平均値をとると、世界経済の成長率は5・1%、貿易量の伸びは8・6%もある。アメリカは住宅バブルに沸き、中国やインドなど新興国経済が急成長し、資源価格もうなぎのぼりで、世界全体が活況を呈していた。
それがACでは、12年から16年の5年間で平均成長率は3・1%、貿易量は2・6%にとどまる。沈滞ムードが続いたせいか、欧米ではグローバリズムに対する不信が生じた。その結果、イギリスは国民投票で欧州連合(EU)離脱を選択し、アメリカでトランプ政権が誕生した。ACとはなんとも悩ましい時代なのである。