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【新聞に喝!】「教科書検定」「慰安婦」…日本の新聞はフェイクニュースの生産者だ 元東京大学史料編纂所教授・酒井信彦

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【新聞に喝!】
「教科書検定」「慰安婦」…日本の新聞はフェイクニュースの生産者だ 元東京大学史料編纂所教授・酒井信彦

ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦像=2017年5月6日(川口良介撮影) ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦像=2017年5月6日(川口良介撮影)

 今年はトランプ米大統領の発言から、フェイクニュース、すなわち偽ニュースが大いに注目された。大統領は米大手メディアを批判して言ったのだが、わが国のメディアは、フェイクニュースの意味をすり替えて使用しているように思えてならない。

 10月に行われた新聞大会の決議にはこうある。

 「不確かでゆがめられた情報が拡散され、事実を軽視する風潮が広がっている。一方的で感情に訴える主張により、報道の信頼性をおとしめる動きもある。(中略)こうした時代にあってこそ、新聞は毅然(きぜん)とした姿勢を保ち、正確で公正な情報を提供しなければならない」

 そこで述べられているのは、ネットではフェイクニュースが蔓延(まんえん)しているのでメディアがそれを正さなければならない-という主張である。

 しかし、米国の大手メディアが偽ニュースを発信している-とのトランプ大統領の指摘は日本にも十分にあてはまるだろう。日本の新聞に決定的に欠けているのは、自分自身がフェイクニュースの生産者だ-という事実を直視する誠実と勇気である。

 日本の新聞が報じた偽ニュースで私が決して忘れられないのは、1982(昭和57)年の第1次教科書問題における大誤報だ。それは高校の歴史教科書の検定で「侵略」が「進出」に書き換えられた-という虚偽の報道であった。

 それに対して、中国と韓国から抗議がきて、国内の問題だった歴史問題が一挙に国際問題になった。時の鈴木善幸内閣の宮沢喜一官房長官は、誤報だったにもかかわらず、教科書検定における「近隣諸国条項」を作ってしまった。

 これが歴史問題の始まりであって、以後、1986年の第2次教科書問題と靖国参拝問題、90年代からの慰安婦問題など続々と登場してきた。

 日本と中国・韓国との関係がこじれたのは歴史問題が原因。中国・韓国側が日本に精神的攻撃を加える武器として積極的に利用してきたといえる。つまり、意図的な日本バッシングがその本質であり、日本のメディアがわざわざ不当な外圧を呼び込んだのである。

 そしてこの歴史問題は、今に至るまでも延々とわが国を苦しめ続けている。最近も慰安婦問題についてみると、韓国政府は日韓合意を完全に踏みにじり、慰安婦記念日を制定した。また、慰安婦像は韓国はもちろん、米サンフランシスコやフィリピンなど海外でも急激に“増殖”している。

 しかし、この新聞が犯した報道の“犯罪行為”について、まともな回顧や反省はほとんどなされてこなかった。フェイクニュースであったという事実すら、外国はもちろん、日本でも周知されていないのではないか。新聞は今からでも、何度でも、この真実を回顧・反省する報道を行う責務がある。

                   

【プロフィル】酒井信彦

 さかい・のぶひこ 昭和18年、川崎市生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東京大学史料編纂(へんさん)所で『大日本史料』の編纂に従事。

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