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【正論】「社外取締役」の意義を理解できない経営者の存在こそ、大きな経営リスクそのものだ 早稲田大学教授・上村達男

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【正論】
「社外取締役」の意義を理解できない経営者の存在こそ、大きな経営リスクそのものだ 早稲田大学教授・上村達男

早稲田大学教授・上村達男氏(本人提供) 早稲田大学教授・上村達男氏(本人提供)

 しかし、そうしたプロセスを踏まえて、取締役会と経営との間に信頼関係が確立している場合には、社外取締役ないし取締役会は経営者が頼れる経営のパートナーとなりうる。ここでは経営に対する社外取締役の助言機能という「経営学」の世界が安定的な基礎の下に展開される。

 会社法の歴史は400年にもおよび、証券市場と一体の株式会社法の歴史は150年以上になる。この間の会社法の歴史は失敗に学ぶプロセスそのものだった。この分野は真に学ぶに値する学問的な世界であり、経営者の経験に頼るようでは一切がおぼつかない。

 ガバナンス・コードが英国に倣(なら)って取締役にトレーニング義務を課しているのも、この側面の重要性を強調するためである。「経営学」のトレーニングをせよと言っているわけではない。

 「経営学」でしか社外取締役の意義を理解できない、しかし自信に満ちた経営者の存在こそ、大きな経営リスクそのものである。それを認識することがガバナンス論議の第一歩なのである。(早稲田大学教授・上村達男 うえむらたつお)

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