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【正論】「社外取締役」の意義を理解できない経営者の存在こそ、大きな経営リスクそのものだ 早稲田大学教授・上村達男

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【正論】
「社外取締役」の意義を理解できない経営者の存在こそ、大きな経営リスクそのものだ 早稲田大学教授・上村達男

早稲田大学教授・上村達男氏(本人提供) 早稲田大学教授・上村達男氏(本人提供)

 しかし、アメリカで日本の社外取締役より独立性の要件が厳しい独立取締役が取締役会の8~9割を占めるのは、経営者が経営のためを思って自発的に導入したのだろうか。そんなことはない。

≪ガバナンスの基礎は「法律学」≫

 独立取締役が相当程度存在する環境の下でなされた経営判断でないと、経営者の責任が容易に肯定されてしまう。そのリスクを最小にするために、独立取締役を導入せざるをえなかった、というのが実態である。独立取締役の存在とは、裁判官を説得する「法律学」の世界の話なのである。

 インサイダー取引防止のための情報の隔壁であるチャイニーズウオール、業際の利益相反防止のためのファイアウオールなどが法的要請とされるのも、これをやっておかないと、厳しい責任追及が待っているからだ。

 経営の危機時の対応や、リスクの高い経営判断をする際(つまりは法的な話になる蓋然性の高い状況を想定すると)、ワンマン社長が全部仕切って決定しているようでは、社長が全責任を負うのは当然としても、会社自身の訴訟リスクに耐えられない。

 企業で不祥事が起きた場合、つい最近までは、それを実行した現場の責任だけが問題になっていた。いわゆるトカゲの尻尾切りである。

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