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【ポトマック通信】なくなった祖国と「わが家」への思い

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【ポトマック通信】
なくなった祖国と「わが家」への思い

 ワシントン郊外にベトナム系の店が軒を連ねるモールがある。米国にいることを忘れてしまう雑多な雰囲気が好きで、買い物や食事のためよく足を運ぶ。今月初めに実施されたバージニア州知事選の共和党候補者による集会を取材するため初めて仕事で訪れた。

 会場となったベトナム料理店にいたトアン・ダンさん(58)は旧ベトナム共和国(南ベトナム)から難民として米国に渡り、ここでの生活は30年以上になる。「自由を求めて米国に来たから、自由を大事にする共和党を支持したい」と、レーガン政権下の80年代に同党を選んだ。

 昨年の大統領選では、不法移民に厳しいトランプ大統領を当初から支持した。「良い移民と悪い移民を区別するという常識」をためらわず主張する姿勢に共感したからだ。他の候補や民主党は不法に入国した移民に甘いと感じたという。

 会場には星条旗の横に南ベトナムの国旗が掲げられ国歌も歌われた。なくなってしまった「祖国」への思いが伝わってきた。

 アジア歴訪中のトランプ氏はベトナム・ダナンでの演説で「わが家に勝る場所はない」という表現で自国保護を訴えた。祖国を後にして米国に渡った難民や移民が、不法移民から「わが家」を守ろうと主張するこの国の複雑さを改めて感じた。(加納宏幸)

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