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【北京春秋】徳は孤ならず

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【北京春秋】
徳は孤ならず

 知人の中国人教授に勧められて、フジテレビが放映した日中共同制作ドキュメンタリー「母として女として」を見た。上海で貿易会社を経営するシングルマザーの日本人女性が、両国を股にかけて仕事や育児、婚活に奮闘する物語だ。

 主人公の佐藤愛さんはかつて中国のお見合いバラエティー番組に出演し、中国版ウィキペディア「百度百科」にも項目がある有名人。2004年に1歳の息子を連れて上海へ語学留学した際、大学の同じ寮に住む教員の父母が幼い息子の面倒をみてくれたという。

 中学生になった息子が老夫婦と再会し「母がいないときにいつも寄り添ってくれた」と一緒に涙を流すシーンは真情を感じた。

 尖閣諸島(沖縄県石垣市)をめぐる反日暴動や旅行者のマナーなどから、日本では中国人に対する負のイメージが一気に強まった。しかし中国で暮らして気づくのは、親切で懐が深く「徳」を感じさせる人たちが、かなりの数いることだ。そうした素朴な善良さを持つ人ほど、拝金主義とイデオロギーが幅を利かす今の社会に息苦しさを抱いているようにも思う。

 「徳は孤ならず必ず隣あり」(論語)。ことさら日中友好を叫ばなくても、まず日本人自身が正しい目と国家観を持てば、あるべき関係はおのずと見えてくると信じたい。(西見由章)

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