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【国語逍遥(89)】河内音頭 全国各地にも「殴り込み」を 清湖口敏

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【国語逍遥(89)】
河内音頭 全国各地にも「殴り込み」を 清湖口敏

会場いっぱいに広がる踊りの輪。錦糸町の夜が熱気に包まれた=8月31日、東京都墨田区(イヤコラセ東京 木島ヒロミツさん撮影) 会場いっぱいに広がる踊りの輪。錦糸町の夜が熱気に包まれた=8月31日、東京都墨田区(イヤコラセ東京 木島ヒロミツさん撮影)

 かつての勢いを失った語り芸も少なくないなかで、河内音頭は発祥の大阪から東京へと広がり、埼玉県内でも踊りの練習が行われるなど活況を呈している。スピード感あふれる踊りの魅力もさることながら、河内音頭そのものが時代の変化に合わせて進化し続けたことが大きな要因ではないかと私は思っている。

 次々に新しいネタを取り込み、同じ外題でも百派千人といわれる音頭取りが独自の解釈と詞と節で挑む。即興のアドリブ挿入などは朝飯前で、楽器も太鼓に三味線が加わり、エレキギターやシンセサイザー、キーボードまで持ち込んだ。

 「念仏踊りの曲想をベースにし、浪曲からジャズからフォークまで平然と胃袋におさめていく河内音頭の生命力はしたたかだ。その生命力の根源は、これはリズムというよりほかはない」(朝倉著『芸能の始原に向かって』)

 その日、錦糸町の盆踊り会場では年配者に交じって若い人も大勢、河内音頭に耳を傾けていた。河内音頭はまだまだ進化していく予感がある。朝倉のめざした「全関東」での振興どころか、広辞苑が河内音頭の義を「河内地方に発祥し、全国各地で行われる口説形式の盆踊り唄」と書き換える日だって、そのうちやってくるかもしれない。

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