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【日の蔭りの中で】フェイクと民主政治 加計学園は大騒ぎするほどの大問題なのか? 京都大学名誉教授・佐伯啓思

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【日の蔭りの中で】
フェイクと民主政治 加計学園は大騒ぎするほどの大問題なのか? 京都大学名誉教授・佐伯啓思

 だから、「事実を明らかにせよ」と叫んでもあまり意味はない。この場合、「事実」とは何なのか、それさえはっきりしない。周囲の反対を押し切って誰かが強引に権限を乱用して無理を押し通したなどということではないのである。どこまでいっても客観的な事実など出てこないであろう。ところが、メディアは「事実を明らかにせよ」といい、事実が出てこなければ「政府は事実を隠蔽(いんぺい)している」という。政府はフェイクをしている、という。

 私は、この問題で、政府の側に言い分がある、といっているわけではまったくないし、トランプ大統領が正しいといっているわけでもないが、そもそも「事実」がどこにあるのか分からないような問題において、「事実が明らかにならないから、政府は何かを隠蔽しようとしている」といってもこれまたフェイクになってしまうといいたいのだ。とすれば、この問題を過度に重視するメディアは政府を批判するためにフェイクに肩入れしていることになろう。

 われわれは、いま、こういう厄介な時代に生きている。事実を突きあわせて白黒判定するという時代ではない。東京都の市場移転問題にしても何が「事実」かなど確定できない。フェイクであろうとなかろうと、もっともらしく見せて大衆の支持を得、世論に影響を与えることができればよいという時代なのである。しかし、それこそが実は、民主政治の本質であることを知らなければならないだろう。(さえき けいし)

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