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【正論】「正道」示した渡部昇一氏を悼む 忠君愛国の士と感じた 東京大学名誉教授・平川祐弘

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【正論】
「正道」示した渡部昇一氏を悼む 忠君愛国の士と感じた 東京大学名誉教授・平川祐弘

東京大学名誉教授・平川祐弘氏 東京大学名誉教授・平川祐弘氏

 「日本が人民民主主義国にならなかったことは僕らの生涯の幸福ですね」「近隣諸国が崩壊し、何十万の難民が舟で日本へ逃げてきたらどうします」「大陸へ強制送還するより仕方がない」。今春そんなテレビ対談をした。それが渡部昇一氏との永の別れとなった。

≪武骨なオピニオン・リーダーに≫

 氏は極貧の学生生活を送った人だが、正直で明るい。86歳になっても書生の初々しさがあった。

 大学生だった昭和20年代、朝日新聞や岩波書店にリードされた論壇は資本主義は邪道で社会主義が正道であると説いていた。共産党の野坂参三は皇居前広場を埋め尽くしたデモ隊に向かい、「第一次大戦のあとソ連が生まれ、人類の6分の1が社会主義になった。第二次大戦のあと人民中国が生まれ、人類の3分の1が社会主義になった。この次の革命の際は…」とアジった。

 あのころ講和をめぐる論戦が『文芸春秋』誌上で交わされた。全面講和論とはソ連圏諸国とも講和せよ、という一見理想主義的、その実は容共左翼の平和主義的主張で、私は南原繁東大総長のそんな言い分が正しかろうと勝手に思い込んでいた。それに対し米国中心の自由陣営との講和を優先する吉田茂首相を支持したのが慶應の小泉信三塾長で、朝鮮半島で激戦が続き米ソの話し合いがつかぬ以上、全面講和の機会を待つことは日本がこのまま独立できずにいることだ。それでよいか、という。その小泉氏に上智の学生だった渡部氏は賛意の手紙を書いた。すると小泉氏から返事が来たという。

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