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【正論】「ロシア・ゲート」に穴籠もり決め込むプーチン氏 「便宜外交」の行動様式を見抜け 北海道大学名誉教授・木村汎

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【正論】
「ロシア・ゲート」に穴籠もり決め込むプーチン氏 「便宜外交」の行動様式を見抜け 北海道大学名誉教授・木村汎

北海道大学名誉教授・木村汎氏  北海道大学名誉教授・木村汎氏 

 米国のトランプ大統領の一挙手一投足が連日、騒がれている。ところが「ロシア・ゲート」のもう一方の当事者、ロシアのプーチン大統領のこの件に関する報道は少ない。事態はいま己にとり不利と見なして、鳴りをひそめているのか。いや、同大統領はそのような柔(やわ)な存在ではなく、反撃しているに違いない。クレムリンの立場にたってプーチン氏の思惑や戦術に関して、推測してみよう。

≪高くついた米大統領選の代償≫

 大統領就任早々、トランプ氏は「ロシア疑惑」をめぐるスキャンダルに遭遇-この思わぬ事態の展開にプーチン大統領はさぞかし吃驚(きっきょう)、失望、憤激しているに違いない。というのも昨年11月の米大統領選は、クレムリンにとり願ったりかなったりの結果だった。

 まず、ヒラリー・クリントン氏はロシアにとり最も望ましくない候補者だった。彼女は、ロシアで民主主義が十分実践されていないと批判する典型的な民主党員というだけにとどまらなかった。国務長官時代のクリントン氏はロシアで「カラー革命」の発生を使嗾(しそう)する張本人と見なされていた。そのような人物が落選したのだから、クレムリンはそれだけでも祝杯を挙げるに十分だった。当選したのはロシアにとり理想的な人物、トランプ氏に他ならなかった。

 トランプ候補は選挙キャンペーン中、ロシアにとり誠に好都合な方針や政策を表明していた。当選の暁には「イスラム国(IS)」を最大の敵とみなし、その闘いでロシアと提携する。そのために、対露制裁を緩和する。北大西洋条約機構(NATO)は役に立たない時代遅れの組織である。オバマ氏に比べプーチン氏のほうが有能な政治指導者である…など。

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