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【主張】朝日支局襲撃30年 暴力には言論で対決する

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【主張】
朝日支局襲撃30年 暴力には言論で対決する

 昭和62年5月3日、朝日新聞阪神支局に目出し帽の男が侵入し、散弾銃を発砲した。

 当時29歳の小尻知博記者が死亡し、もう一人の記者も重傷を負った。あれから、30年になる。

 「赤報隊」を名乗る犯行声明には「反日分子には極刑あるのみ」などとあった。事件は、朝日新聞の言論に対して暴力と恐怖で屈服させることを企図したテロである。それが白色テロであれ、赤色テロであれ、主張の如何(いかん)に関係なく、許されざる蛮行である。

 言論に対峙(たいじ)すべきは、言論である。卑劣な銃弾によって、ペンを曲げることはできない。

 30年前に向けられた銃口は、全ての言論・報道機関に向けられたものであり、民主主義そのものを標的とした。犠牲となった小尻記者を悼むとともに、改めてそう受け止め、怒りを新たにしたい。

 阪神支局襲撃と前後して、朝日新聞東京本社と名古屋本社寮にも銃弾は撃ち込まれた。「赤報隊」による脅迫の対象は、後に中曽根康弘元首相や、当時首相だった竹下登氏らにも及んだ。警察庁指定116号事件である。

 刑事警察が薬莢(やっきょう)などの遺留物から犯人を追い、公安警察は右翼活動家らを対象に情報を収集した。だがついに摘発には至らず、一連の事件は平成15年に全て時効となった。「赤報隊」は2年5月、愛知韓国人会館放火事件を最後に地に潜り、その実態は解明されないままである。警察にとっても、全報道機関にとっても痛恨事だ。

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