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【新聞に喝!】鉄道自殺の報道に思う 元東京大学史料編纂所教授・酒井信彦

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【新聞に喝!】
鉄道自殺の報道に思う 元東京大学史料編纂所教授・酒井信彦

 ところで、このような純粋な転落事故は人身事故に間違いないが、自ら飛び込む自殺は事故といえるのだろうか。事故というのは、あくまでも誤って起きてしまうものを言うべきだ。自殺であっても一種の殺人事件であり、事故ではなくて明らかに事件であるといえる。

 5日の産経新聞によると、2003年には3万4427人と、最大のピークを記録した日本人の自殺者数も、次第に減少に転じてきており、昨年の確定値では、2万1897人となっている。しかし、いまだに2万人を超えているわけである。政府は10年後にこれを1万4千~1万5千人以下にする方針であるという。

 この記事では、12年の先進国における人口10万人当たりの自殺率は、日本が18・5に対して、フランス12・3、米国12・1、カナダ9・8、ドイツ9・2、英国6・2、イタリアに至っては4・7である。

 新聞社側には、その影響を考慮して、自殺報道は控えるべきだとの判断もあるようだ。しかし現実には、これだけ大量に発生している以上、この悲惨な事実を、自殺の問題として正確に報道し、それを減少させるために、警鐘を鳴らすべきではないのか。

                  

【プロフィル】酒井信彦

 さかい・のぶひこ 昭和18年、川崎市生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東京大学史料編纂所で『大日本史料』の編纂に従事。

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