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【正論】プーチン露大統領は、目先の利害で動くトランプ米大統領を信用していない その冷徹なリアリズムを見抜け 新潟県立大教授・袴田茂樹

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【正論】
プーチン露大統領は、目先の利害で動くトランプ米大統領を信用していない その冷徹なリアリズムを見抜け 新潟県立大教授・袴田茂樹

ロシアのプーチン大統領(川口良介撮影) ロシアのプーチン大統領(川口良介撮影)

 トランプ米政権成立、英国の欧州連合(EU)離脱、中東情勢など予見不能の地殻変動に世界が振り回され、18世紀から20世紀前半に酷似した新たな地政学の時代が到来した、との感を否めない。今、私たちは「冷戦時代の安定」が、むしろ歴史の例外だと思い知らされた。本稿では、この地政学時代におけるプーチン政権の、トランプ政権や中国への見方および日露関係について考えたい。

≪擦り寄る者は弱者と見下す≫

 米国に親露的なトランプ大統領やティラーソン国務長官が誕生したことをプーチン政権は歓迎した。先進7カ国(G7)の対露制裁崩壊の可能性が高まり、シリア問題でも露の立場が強まるからだ。トランプ氏はクリミア併合など、主権国家間の秩序やその侵害には無関心だ。むしろ露との良好な関係構築を目指し、北大西洋条約機構(NATO)も非効率で時代遅れだと批判、日本や韓国の米軍駐留にも財政面から疑問を呈した。彼の中国への強硬姿勢もビジネス取引の感覚だが、ある意味で露に好都合だ。

 ではプーチン氏は、彼が反発する欧米の価値観や対露認識を否定するトランプ大統領に敬意を抱き、今後の米露関係にも期待しているかというと、話はまた別である。実はリアリストとして露指導部は、米共和党の主流派や民主党でもヒラリー・クリントン氏のような厳しい対露認識を信念とする勢力、すなわち露に緊張感を与える相手に対し、対抗心は抱いても内心は一目置いている。

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