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【新聞に喝!】戦争遂行に貢献した「新聞」 戦争責任を反省したといえるか? 元東京大学史料編纂所教授・酒井信彦

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【新聞に喝!】
戦争遂行に貢献した「新聞」 戦争責任を反省したといえるか? 元東京大学史料編纂所教授・酒井信彦

米ハワイ・真珠湾で慰霊を終え、演説する安倍晋三首相。奥はオバマ米大統領=2016年12月27日(共同) 米ハワイ・真珠湾で慰霊を終え、演説する安倍晋三首相。奥はオバマ米大統領=2016年12月27日(共同)

 ところで安倍首相に対して、アジアへの戦争責任の言及を執拗(しつよう)に求める新聞は、自分自身の戦争責任については、一体どうなっているのだろうか。

 戦争当時は、朝日と毎日(東京日日)が2大紙であって、読売の部数はずっと少なかった。その両紙が満州事変を機に、戦争を積極的に賛美する報道を展開したのは、まぎれもない事実である。新聞は戦争の遂行にあたって、絶大な貢献をしたのである。

 戦争によって新聞は部数を大幅に伸ばした。特に朝日は昭和6年の140万部から同17年の370万部にまで、倍以上に増加して毎日を追い抜いた。(吉田則昭『戦時統制とジャーナリズム』巻末資料)

 しかし私の知る限り、新聞は自己の戦争責任について、真剣に反省し、国民に謝罪しているとはとても思えない。例えば、朝日が戦時報道を厳しく自己検証したとするノンフィクション『新聞と戦争』(朝日文庫)だ。

 作家、井上ひさし氏に、巻末のコメントで、「新聞はあの戦争を正義の戦争だとうたった。国家にとって不都合な情報は、情報局や軍の報道部に抑えられて報道しなかった。それらの点で新聞には、戦争責任があると言える。だが、あのときの新聞に『この戦争は間違っている』と批判出来ただろうか。当時の私自身の感覚に照らせば、無理だったと思う」と、言い訳を代弁してもらっているのだ。

                   

【プロフィル】酒井信彦

 さかい・のぶひこ 昭和18年、川崎市生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東京大学史料編纂(へんさん)所で、『大日本史料』の編纂に従事。

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