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【産経抄】「悔」の字にしがみつくだけの年の瀬はつまらない 12月25日

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【産経抄】
「悔」の字にしがみつくだけの年の瀬はつまらない 12月25日

 柔道の井上康生氏が「今年の漢字」を記者から問われ、「幸」と「悔」の2文字を挙げた。リオ五輪では男子代表監督として金2個を含む全7階級のメダル獲得に導いている。「幸」はいい。「悔」が分からない。

 ▼その心は。「個々の力をもっと引き出せた。メダルの色も変えられた」。たどり来ていまだ山麓、4年後の高嶺(たかね)を見据えればこその自戒だろう。「われ、事において後悔せず」(宮本武蔵)は剣に命を賭した時代の潔さで、人は普通、悔いの種を残して生きている。

 ▼地球儀を回せば「悔」の字が見える。国民投票で欧州連合からの離脱を決めた英国では悔悟の嘆息が漏れ、米大統領選では悔恨を生みかねないトランプ氏の勝利があった。どちらも移民やエリートに向いた「憎し」の熱狂が、「悔」の字を脇に追いやった観がある。

 ▼日本も人ごととは笑えない。東京五輪の大会経費は1・8兆円という。立候補の段では7千億円余りだった。規模も予算も「コンパクト」と掛け声に乗せられ、1964年五輪を知る世代の「夢よ再び」の熱にあおられ、8割近い支持率を得た招致活動を思い出す。

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