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【産経抄】人道主義にレッドカード 12月21日

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【産経抄】
人道主義にレッドカード 12月21日

 小紙が入居するビルの玄関には、大きなクリスマスツリーが飾られている。イルミネーションに彩られた屋台が並び、若いカップルがそろいのマグカップで温かい赤ワインを楽しむ。最近はこんなクリスマスマーケットの光景が、全国各地で見られるようになった。

 ▼どちらも、ドイツ発祥のクリスマスの風物詩である。首都ベルリン中心部の広場で、19日夜開かれていたクリスマスマーケットも、大勢の買い物客でにぎわっていた。そこへ大型トラックが突っ込み、少なくとも12人が死亡した。地元メディアによると、現場から逃走して逮捕された運転手は、パキスタンかアフガニスタンから入国した難民申請者の可能性がある。

 ▼なぜドイツだけ、大規模なテロを免れているのか。昨年以来、フランスやベルギーから惨劇のニュースが届くたびに、疑問を抱いた時期があった。もっとも今年7月以降は、ドイツでも難民や移民による凶悪事件が相次いだ。今回の事件が無差別テロと断定されれば、「安全神話」は完全に崩壊したことになる。

 ▼メルケル首相が昨年9月、ハンガリーで足止めされていた難民の受け入れを決定して以来、流入数は100万人を優に超える。ほとんどが保護を必要とする、善良な人たちである。もっとも、過激思想に染まった者がほんの少しでも含まれて牙を研いでいるとしたら、と想像するだけで恐ろしい。

 ▼メルケル首相はすでに、来年秋に行われる連邦議会選挙で首相4期目をめざす意向を明らかにしている。移民、難民政策で見せた「人道主義」の揺るぎなさを、評価する声は日本でも高い。

 ▼ただ、クリスマスさえ心穏やかに迎えられなくなった今、有権者の多くはレッドカードを用意し始めているのではないか。

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