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【日曜に書く】障害は人にあるのではない、環境にあるのだ 論説委員・佐野慎輔 

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【日曜に書く】
障害は人にあるのではない、環境にあるのだ 論説委員・佐野慎輔 

 芝居を見に行った。

 舞台はニューヨークのセントラルパーク。ここで出会った妙齢の女性ふたりが、ふとしたきっかけでおとぎ話の世界に入り込む。そして、崩壊の危機に陥りそうになったファンタジーを救うべく立ち上がる…。

芝居を見ながら思う

 いや、ストーリーよりも、ふたりの女優の絶妙な掛け合いにこそ大きな意味を感じた。

 ふたりの女優は、手話と口語で会話を交わす。実際、出演者のひとりはろう者で耳の聞こえないハンディキャップを克服、女優の道に進んだ人である。

 芝居は実にテンポよく進んでいく。そして、場内には時折、大きな笑いが起きた。

 私は手話がわからない。手話がわからないのにストーリーに引き込まれていく。

 仕掛けがあった。手話で交わされる言葉は音声ガイドで訳が流されるのだ。

 この芝居、障害のある人もない人も一緒になって楽しもうという趣旨で催されたイベントのひとつであった。

 会場は「耳の聞こえない人・聞こえにくい人」「目の見えない人・見えにくい人」「車いすにのった人」「盲導犬を連れた人」など、さまざまな観客であふれていた。さまざまな障害のある観客に対応すべく、「手話通訳」「要約筆記」「音声ガイド」「音声補聴」「点字プログラム」に、電動車いす用の充電システムや補助犬用のスペースまで用意されている。さらには、情緒が不安定な人とその介助者のために特別な「鑑賞スペース」まで設けられていた。

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