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【宮家邦彦のWorld Watch】
拝啓、ドゥテルテ大統領閣下 貴方の発言は本心か政治的演技か 推察すると…
その意味で、中国での貴大統領の言動は「戦術的」だったはずです。しかも、今回中国は貴国に対し相当の譲歩を迫ってきましたね。もしかしたら、貴方は今回の訪中に必ずしも満足していなかったのではありませんか。
これに比べれば、貴大統領の訪日は戦略的意味を持ちます。日本は米国ではありません。フィリピンと同じ西太平洋の島嶼(とうしょ)国として海洋権益を共有しています。南シナ海での「航行の自由」の維持は貴国は勿論(もちろん)のこと、中国を含め、世界の利益となるでしょう。
そもそも現在の中国による南シナ海軍事化は、1991年に反米傾向を強めた貴国が駐留米軍を追い出したことがきっかけではありませんか。今は点と線による支配ですが、いずれ中国は貴国EEZ(排他的経済水域)内のスカボロー礁に滑走路のある人工島を建設し、南シナ海の航空・海上優勢を面で確保しようとするでしょう。さらに、来年前半、中国は米新大統領の出方をテストすべく米艦船・航空機などに対する挑発を強める可能性があります。