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【正論】中国とイスラムの暴力での文明争奪戦が始まった 日本は「近代」を蹂躙する勢力と戦え 評論家・西尾幹二

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【正論】
中国とイスラムの暴力での文明争奪戦が始まった 日本は「近代」を蹂躙する勢力と戦え 評論家・西尾幹二

評論家・西尾幹二氏 評論家・西尾幹二氏

 一方、ヨーロッパも日本ももともと「近代」に本当の自信を持っていない。ヨーロッパには古代がないからだ。12~13世紀の中世からヨーロッパの歴史は始まる。ギリシア・ローマはまっすぐに彼らにつながる歴史とはいえない。アラビア世界にも属していた。聖書の原典はギリシア語で書かれていたが、15~16世紀にはもはやギリシア語を知る人もなく、原典復元のためエラスムスはギリシア語教師を探して南欧の果てまで放浪した。ヨーロッパには根源的不安があるのだ。日本も仏教は漢訳仏典を唯一の頼りにしたので、原語サンスクリットは明治になってやっと知ったのである。

 ユーラシアの東西の端にあったヨーロッパと日本にとって、この不安の克服こそが「近代」なのだ。ヨーロッパ人には大航海時代の冒険とともに人文主義の歴史があり、ギリシア・ローマをアラビア人に学んで自分の歴史に奪い取るルネサンスがあって、やっと「近代」の戸口に立った。

≪中華依存しなかった江戸時代≫

 日本は江戸時代に水戸光圀が中国の『詩経』をまねて『万葉集』の編纂(へんさん)、『史記』をモデルに『大日本史』の編纂を企て、いかにも中華依存に見えるが、江戸の儒学は同時代の清朝の学問からは大きな影響を受けなかった。

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