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【産経抄】デトロイトの奇跡とトランプ氏の醜聞 10月10日

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【産経抄】
デトロイトの奇跡とトランプ氏の醜聞 10月10日

 路上には信号機がゴロリと横たわり、ビルの多くは廃虚だった。2013年7月、米デトロイト市が財政破綻したときの惨状である。負債額は、日本円で1兆8千億円にも達していた。

 ▼かつては「自動車の街」として、米国の繁栄を象徴するような都市だった。衰退の背景には、日本車の攻勢や、人件費の高騰に伴う業界のデトロイト離れがある。人口が激減し、治安の悪化も目に余った。そこで注目されたのが、1885年に創設された美術館である。

 ▼全米屈指のコレクションを売却すれば、負債を減らし、市民を困窮から救えるはずだ。しかし、市は別の再生の道を選んだ。ゴッホやセザンヌなど所蔵する名作の数々は今、東京・上野の森美術館で展示中である。昨日訪ねると、悪天候にもかかわらず大賑(おおにぎ)わいだった。

 ▼デトロイトに、何が起きたのか。作家の原田マハさんが現地で取材して、『デトロイト美術館の奇跡』(新潮社)という小説に仕立てた。年金生活の元自動車工から大富豪まで、美術を愛する市民一人一人が立ち上がった結果らしい。改めて米国の底力を見た。その同じ国で大統領をめざす人物の振る舞いとは、とても信じられない。

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