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【産経抄】小さな勇気が支えになる 8月19日

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【産経抄】
小さな勇気が支えになる 8月19日

 平成3年5月、東京都内の私鉄駅のホームから、細胞生理学者の田中一郎さん(62)が転落して死亡した。米国留学中に失明した田中さんには、もうひとつの研究テーマがあった。視覚障害者が安全に交通機関を利用するための、システム作りに取り組んでいた。

 ▼25年たった今も、駅は視覚障害者にとって危険な場所のままである。東京メトロ銀座線青山一丁目駅のホームは、幅が3メートルほどしかない。途中には、行く手をはばむように柱が数本立っている。15日、視覚障害者の品田直人さん(55)は、柱の数メートル手前で転落して死亡した。

 ▼警察の調べによると、品田さんといっしょに歩いていた盲導犬が、柱を避けようとした可能性がある。「ベンチなどホーム上の障害物に注意を集中させていたために、ホームの端に対する注意が不十分だった」。田中さんが生前、視覚障害者の転落事故例を分析して、浮かび上がった原因の一つだった。

 ▼視覚障害者の4割が転落経験があるという、衝撃的な調査結果も出ている。事故防止の決め手の一つとされるホームドアが、全ての駅に設置される日が来るまで、時間がかかりそうだ。「周りの人の声掛けが命綱」。視覚障害者の声は切実である。

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