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【話の肖像画】作家・村松友視(2)父の早世、祖父母に育てられ

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【話の肖像画】
作家・村松友視(2)父の早世、祖父母に育てられ

昭和57年ごろ、自宅で取材に応える。後ろは愛猫アブサン 昭和57年ごろ、自宅で取材に応える。後ろは愛猫アブサン

 〈東京・千駄ケ谷で生まれ、作家の祖父、梢風(しょうふう)の自宅で4歳まで過ごした。父の友吾は、友視生まれる前に中国・上海で27歳で客死。まだ20歳と若い母の未来を案じた梢風は、母に他の男性との結婚を勧め、友視を自分の養子にした〉

 東京への空襲が激しくなり、夜中にたたき起こされて自宅の防空壕(ごう)に避難することもありました。防空壕の中に漂う粘土の臭いは新鮮だったし、空襲は夜中に防空壕に立て籠もるゲームみたいだった。幼い子供には非日常的なことの連続なので、僕ははしゃいで大声で騒いでしまい、じいさん(梢風)にも怒られたらしい。神宮外苑に防空頭巾をかぶって遊びに行って家に帰る途中、空襲警報が鳴ると、知らない人の家の防空壕に入れてもらい、空襲をやり過ごすなんてことも何度かありました。道を隔てて自宅の前には青山練兵場があり、練兵場のそばの危険地域ということで、4歳のとき、僕たちは静岡県へ強制疎開することになりました。

 疎開先はじいさんの故郷、遠州・森町。そこで終戦を迎え、その後は清水市(現・静岡市清水区)へ引っ越しました。僕はばあさんと2人きりで過ごすことになり、そんな生活は高校卒業までずっと続きました。その時期から、じいさんは別の女性と神奈川県鎌倉市に住んでいて、ときどき僕らのありさまをのぞきにくるというライフスタイル。そもそもじいさんは、いろんな所に女をつくっては転々と住み歩いてきたので、僕が千駄ケ谷に住んでいたときも自宅にはあまり寄りつかなかったようです。

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