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【産経抄】相模原19人刺殺の元職員が残した妄言「障害者は不幸を作ることしかできない」7月31日

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【産経抄】
相模原19人刺殺の元職員が残した妄言「障害者は不幸を作ることしかできない」7月31日

殺人容疑で逮捕された植松聖容疑者(右端の緑シャツ)=植松容疑者のフェイスブックより 殺人容疑で逮捕された植松聖容疑者(右端の緑シャツ)=植松容疑者のフェイスブックより

 少年は重度の脳性マヒだった。14歳で詠んだ詩の一節にある。〈ぼくを背負うかあさんの/細いうなじにぼくはいう/ぼくさえ生まれなかったら/かあさんのしらがもなかったろうね〉(昭和50年、山田康文『ごめんなさいね おかあさん』)。

 ▼手足が不自由で会話もできない。閉ざされたはずの世界から詩は生まれた。少年の「言葉」に気づいたのは、当時の養護学校で言語訓練を受け持った向野幾世さんである。目をぎゅっとつぶれば「イエス」、舌を出せば「ノー」。目と舌の信号で紡いだ労作だった。

 ▼「表情はことばの宝庫」と向野さんは自著に記している。目や口の動き、涙、洟(はな)、よだれ…。「障害者」と呼ばれる子供たち一人一人の体に「言葉」は宿っていた。抱きしめれば理解できる、と。向野さんを動かしたのは「健常者」と呼ばれる者の職責だったろう。

 ▼「障害者は不幸を作ることしかできない」。相模原市の障害者施設で凶行に及んだ元職員の男は、こんな妄言を手紙に記していた。気づく機会はあったはずである。入居者の指先の温もり、目元や口元をかすめるわずかな変化に、「言葉」が宿っていたはずである。

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