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【正論】職業大学創設より日本文化の再興を 新潟県立大学教授・袴田茂樹

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【正論】
職業大学創設より日本文化の再興を 新潟県立大学教授・袴田茂樹

≪文学の朗誦に圧倒された学生≫

 大学での講義の時、モスクワからの交換留学の女子学生に露語のプーシキン詩集を手渡して、この中からどれでも一つ、日本人学生に読んで聞かせてほしいと頼んだ。受講生の多くは露語を知らないが、生きた言葉の雰囲気だけでも味わわせたかったからだ。

 女学生は、教壇上で詩集の目次に目を通すとそれを閉じて、一つの詩を身ぶり手ぶりを加え雰囲気たっぷりに朗誦(ろうしょう)した。ロシアの古典詩などは彼女の身体が覚えているのだ。その迫力に日本人学生は圧倒され、そして自分たちの文化的な貧困を痛感させられた。

 先日モスクワを訪問したとき、文化人たちの「朗読の夕べ」を聴きに行こうと誘われた。ロシアの著名な文化人が幾人か壇上で自作の詩、文章などを朗読するのだが、熱っぽい会場で聞いている数百人の聴衆の中にも、著名人が沢山(たくさん)いてお互いに挨拶している。

 モスクワオリンピックの開催時(1980年7月)に、ソ連の著名な詩人で俳優のV・ヴィソツキーが亡くなった。私もタガンカ劇場で彼の自作詩のギターによる弾き語りを何回か聴いている。彼の追悼会場にはオリンピックのどの会場よりも多くの人が集まったという。当時のソ連人で彼の詩を知らない者はほとんどいなかった。

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