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【産経抄】カシアス・クレイ、そしてモハメド・アリの伝説 6月6日

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【産経抄】
カシアス・クレイ、そしてモハメド・アリの伝説 6月6日

 米ケンタッキー州ルイビルを流れるオハイオ川の底には、金メダルが沈んでいる。この町出身のボクシング選手、カシアス・クレイが、1960年のローマ五輪で獲得したものだ。

 ▼凱旋帰国したものの、レストランでは入店を拒まれた。メダルを見せても無視される。黒人差別への怒りから、メダルを川に投げ捨てた。有名なエピソードは、実は伝記作家の創作である。紛失しただけらしい(『モハメド・アリ その闘いのすべて』)。

 ▼4年後に世界ヘビー級チャンピオンになると、イスラム教に改宗し、名前を変えた。カシアス・クレイは奴隷の名前だ、というのが理由だった。プロ通算成績は61戦56勝(37KO)。ベトナム戦争への徴兵を拒否してタイトルを剥奪されても、74年にジョージ・フォアマンから奪還する奇跡を起こす。確かに、ボクシング界の頂点を極め、リングの外では人種差別と闘い続けたヒーローにぴったりの「伝説」である。

 ▼今月3日に74歳で亡くなった元王者は現役引退後、パーキンソン病に苦しみながら、人道活動に携わってきた。湾岸危機の90年には、イラクに乗り込んでフセイン大統領とかけあい、15人の米国人の連れ帰りに成功している。

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