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【主張】トキ野生繁殖 回復へ40年ぶりの朗報だ

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【主張】
トキ野生繁殖 回復へ40年ぶりの朗報だ

 日本海に浮かぶ佐渡島で、国の特別天然記念物トキの子育てが行われている。

 野生世代のペアから初めてひなが生まれ、育っているのが、今年の繁殖期の朗報だ。

 日本産トキは平成15年に絶滅した悲しい過去を持つ。環境省は中国産のトキを人工繁殖させて、20年から佐渡島での放鳥を続けている。

 こうした放鳥トキのペアから、人間の手を借りない自然繁殖世代のトキが生まれ、この自然生まれ同士を両親に持つ本格的な「野生児」トキが目下、成育中だ。

 自然界にはカラスやテンなどの天敵もいるが、美しい色の翼を広げて大空を舞うまで無事に育ってもらいたい。

 自然生まれ同士の両親の下で、ひなが育ち始めたことの意義は大きい。トキの個体群が絶滅以前の状態に立ち戻れたことを意味しているからである。

 絶滅以前の最後の野生ひなの誕生は、昭和51(1976)年のことなので、40年ぶりの記念碑的な出来事なのだ。

 このことは、いったん失った野生生物を復活させることが、巨額の費用を要するなど、いかに大変であるかを物語っている。

 普通なら、まず不可能な復活劇だが、トキの場合は日本産と中国産が分類学上、「ニッポニア・ニッポン」という同一種であったので運良く回復への道が開けた。

 環境省と新潟県佐渡市の努力もさることながら、トキが野生復帰できたのは地元の農家の協力が大きい。冬季も水田に水を満たしたり、農薬を控えたりすることで、ドジョウなどを好んで食べるトキの餌場を確保した。

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