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【正論】時代遅れのGDPにこだわるな 目先の数値に踊らされるのは愚の骨頂だ 双日総合研究所チーフエコノミスト・吉崎達彦

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【正論】
時代遅れのGDPにこだわるな 目先の数値に踊らされるのは愚の骨頂だ 双日総合研究所チーフエコノミスト・吉崎達彦

吉崎達彦氏 吉崎達彦氏

 ところで筆者は昨年12月、中国社会科学院日本研究所の国際会議に参加した。その際、先方が「中国のGDPは今では日本の2倍以上ある」「中国はこんなに経済大国になった」などとしつこく繰り返すものだから、ついカチンと来てこんなことを言ってしまった。

 「あなた方、GDPという統計はいつ、どこで、誰が発明したか、ご存じですか?」

 意外とエコノミストでも知っている人は少ない。正解は1942年の米商務省である。第二次世界大戦中のアメリカは、戦時遂行のための道具として国民所得推計を必要としていた。そこで生み出されたのが「国民総生産=GNP」の概念であった。「戦争は発明の母」を地で行くような話である。

 ちなみにこの作業の功労者となったのは、ノーベル経済学賞を受賞したサイモン・クズネッツ教授である。1901年にウクライナで生まれ、米国に移住してコロンビア大学で学んだ。そのクズネッツ教授は「人々の豊かさが考慮されていない」と言って、この統計には批判的であり続けた。知っておいて損はない知識だと思う。(双日総合研究所チーフエコノミスト・吉崎達彦 よしざき たつひこ)

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