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【赤の広場で】モノゴロドの息苦しさ

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【赤の広場で】
モノゴロドの息苦しさ

 ロシアには特定産業に依存する街を指す「モノゴロド(単一の街)」という言葉がある。ソ連時代の計画経済の名残などでロシアには300を超えるモノゴロドがあり、そこに全人口の1割が住むとされるが、目下の経済危機で住民の6割は「生活に耐えがたい」などと訴えているという。

 そんなモノゴロドの息苦しさを象徴するような事故が2月末に起きた。北部コミ共和国の炭鉱でメタンガスによる爆発事故が起き、30人以上が死亡。遺族によれば、炭鉱作業員はガス探知機を隠すなど不正をして業務を継続させられた。仕事を失うのが怖くて指示に従っていたという。

 石炭価格は低下しているがロシアの石炭産業は通貨ルーブルの暴落が幸いし、輸出でなんとか採算がとれているという。会社側は遺族の主張に反論しているが利益が圧迫されるなか無理な操業を続けた可能性も否定できない。

 国営メディアは政府から遺族に見舞金が出たことを盛んに報じているが、原因究明の前に多額の見舞金を払うのは、秋の下院選に向けて批判が高まるのを避けるためでは、といぶかる声もある。ロシアの鉱山事故は多くが責任の所在が不透明なままとされる。納得のいく調査が行われなければ、政府に対するモノゴロドの不満はさらに高まりかねない。(黒川信雄)

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