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【正論】
「欲ない、夢ない、やる気ない」……現代日本の最大の危機はこの「3Y」にある 作家・堺屋太一
予備審査員40人が探してようやく3通前向きなものが出てきた。「お寺の住職になりたい」という青年と消防士志望の少年、そして「ケーキ屋で近所を喜ばせたい」という少女である。
「はがきの名文コンクール」だけで世の風潮を断じるわけではないが、ここに示された「欲望の低さ」は、あらゆる場面に見られる。
まずは若者の間に広がる物欲の低下だ。20世紀のうちは家族も独身者も「豊かなモノ」に憧れ、衣料を買い込み電気製品をそろえ自動車を買った。中年世帯は分譲住宅を探して展示場を回った。
だが最近は、あえて高級衣料や電気製品をそろえず、必要に応じてレンタルする人々も多い。自動車にしてからが「要るときにレンタルすればよい」という向きも増えている。
1980年代以降に生まれた「ミレニアム(世紀末)世代」は、モノを持つことにステータスを感じないらしい。