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【産経抄】グラミー賞と地方創成 2月18日

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【産経抄】
グラミー賞と地方創成 2月18日

 オーストリアのザルツブルクは、モーツァルトの生誕地として知られる。楽聖の音楽をよみがえらせようと、1920年に始まったのが、ザルツブルク音楽祭である。

 ▼毎年夏には、世界中から音楽ファンが訪れる音楽祭は、指揮者の小澤征爾さん(80)とも縁が深い。芸術監督を務めていた「クラシックの帝王」カラヤンから何度も呼ばれ、オペラの指揮棒を振ってきた。ヨーロッパの音楽関係者は、カラヤンの死後、後継者の小澤さんが芸術祭を引っ張っていくと期待していたらしい。

 ▼もっとも小澤さんは平成4年以来、長野県松本市で毎年夏に開催される音楽祭の総監督を務めてきた。きっかけは、小澤さんの恩師、斎藤秀雄の門下生が集まって結成された「サイトウ・キネン・オーケストラ」である。世界各地で演奏するなか、松本市にできたホールに目が留まり、本拠地となった。

 ▼小澤さんにとって、3年前の音楽祭で指揮したラベル作曲の歌劇「こどもと魔法」は、特別な作品といえる。天皇、皇后両陛下が鑑賞された公演は、1年半にもわたった体調不良からの復帰を果たした舞台でもあった。第58回グラミー賞の最優秀オペラ録音賞に輝いたアルバムには、この「こどもと魔法」が収められている。

 ▼昨年から「セイジ・オザワ松本フェスティバル」と改称された音楽祭は、地元ボランティアが合唱団に参加し、運営にも携わっている。小澤さんは、世界水準の音楽を発信するとともに、地元に愛される国際的なイベントをめざしてきた。

 ▼「世界のオザワ」の快挙は、松本市民の誇りでもある。お祝いムードに包まれた今夏は、例年以上のにぎわいを見せるだろう。音楽による街の活性化は、まさに「地方創生」のお手本である。

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