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【産経抄】日本人力士、10年ぶりの優勝 かくも長き不在… 1月25日

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【産経抄】
日本人力士、10年ぶりの優勝 かくも長き不在… 1月25日

 「相撲が国技だなんて、小さい、小さい。ユーラシアにまたがる数千キロの空間と、十数世紀におよぶ時間が背後に横たわっているのが見えないか」。作家の宮本徳蔵さんは、『力士漂泊』のあとがきに書いている。

 ▼宮本さんによると、2、3世紀ごろにモンゴル高原で生まれた相撲は、西へ東へと伝わっていく。日本の文献に初めてあらわれるのは、7世紀半ばの飛鳥時代である。この本が出た昭和60年当時、角界にモンゴル人の姿はなかった。

 ▼講談社文芸文庫として再刊された24年後の平成21年は、どうなっていたか。朝青龍、白鵬のモンゴル人力士が東西の両横綱を占め、ブルガリア出身の琴欧洲やエストニア出身の把瑠都も活躍していた。広くユーラシアの観点から相撲を論じ、未来を見据えた宮本さんの慧眼(けいがん)には驚くばかりだ。

 ▼宮本さんは、その2年後に亡くなった。さすがに、日本勢の現在にいたる体たらくまでは、予測していなかったはずだ。平成10年の若乃花を最後に、横綱に上り詰めた日本人はいない。それどころか、日本出身力士は、平成18年の栃東以来、10年間も優勝から、遠ざかってきた。

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