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【産経抄】夢見る政治は危ない 1月12日

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【産経抄】
夢見る政治は危ない 1月12日

 ドイツ人のイメージといえば、真面目、勤勉、現実的といった言葉が思い浮かぶ。ところが長く読売新聞のベルリン特派員を務めた三好範英(のりひで)さんは、「夢見る人」と表現する。現実を直視するより、目的や夢を先行させる傾向が、強いというのだ(『ドイツリスク』光文社新書)。

 ▼最たる例が、脱原発の決定である。メルケル政権は、福島第1原発事故を受けて、2022年までに国内の全原発を廃止する「エネルギー転換」に踏み切った。4年以上が経過した今、電気料金の値上がりに対する不満と、実現性への疑念の声が国内に広がっているという。

 ▼「夢見る人」たちは、中東やアフリカの内戦を逃れて、欧州に殺到する人たちにも寛容だった。政府は難民を積極的に受け入れ、国民の多くも支持していた。ところがこの1年間で流入した難民が、100万人を超えるに至って、さすがに世論の風向きも変わってきた。

 ▼昨年の大みそか、西部ケルンで起きた集団女性暴行事件に、ドイツ国民はさらに大きな衝撃を受けている。容疑者の多くが難民申請者や不法滞在者だったからだ。難民を装って、テロリストが紛れ込む可能性も、ますます高まっている。三好さんの本の副題になっている「『夢見る政治』が引き起こす混乱」が、まさに現実となってしまった。

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