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【ポトマック通信】米国の銃文化

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【ポトマック通信】
米国の銃文化

 「宇宙人による侵略、もしくはその他の緊急事態の場合は非常灯の方へ避難してください」。近所の映画館では上映前にこんな安全喚起の短いお知らせが流れる。冗談めかしてはいるが、映画館での銃乱射事件も想定しているのだと考えると一瞬背筋が凍る。

 米国の2013年の殺人発生率は人口10万人あたり約3・8人。数字は年々改善しているが、世界最低水準の日本(約0・3人)はもちろん、隣国のカナダ(約1・4人)などと比べても見劣りする。背景に個人の銃保有が憲法上の権利となっている社会環境があることは明らかに思える。

 ただし米国では銃規制強化への要望と同様に、銃文化への心情的なこだわりも強い。大統領選に出馬しているマイク・ハッカビー元アーカンソー州知事は著書で、6歳前で両親からエアガンをもらい、9歳ごろには本物の22口径のライフルを買ったと回想している。信じられないような話だが、南部の子供は親から銃で事故を起こさないための心構えをたたき込まれているため問題はないらしい。

 連邦最高裁は10年に州などが個人の銃保有を禁止することを違憲としたばかりで、法的な環境が急変する見込みは低い。公共施設での安全対策や家庭などでの銃管理の厳密さを高めて、地道に状況を改善するしかないのだろう。(小雲規生)

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