産経ニュース

【産経抄】焚書坑儒の国 1月6日

ニュース コラム

記事詳細

更新

【産経抄】
焚書坑儒の国 1月6日

 「雪夜に門を閉ざして禁書を読む」。中国の封建時代を生きた知識人が、残した言葉だという。『中国の禁書』(章培恒(しょうばいこう)、安平秋(あんへいしゅう)著、氷上(ひかみ)正、松尾康憲(やすのり)訳、新潮選書)は、始皇帝による「焚書(ふんしょ)坑儒」に始まる、中国の禁書の歴史を綴(つづ)っている。

 ▼儒学の経典や仏典、占い、天文学、歴史に関する書、小説…対象になった書物は多岐にわたった。原著は「様々な条件の制約により」清の時代で終わっている。もちろん、共産党政権も歴代王朝と同じ政策を採用してきた。日本語版には訳者によって、現在の禁書リストが付いている。

 ▼小紙の大型連載企画をもとにした単行本『トウ小平秘録』(扶桑社)も、「禁止図書」に指定された。中国での取材協力者に郵送したところ、税関当局から返送されてきた。天安門事件に関する著述が問題になったようだ。

 ▼ただ数年前までは、中国で出版や販売が禁止された本でも、香港では可能だった。書店の棚に並んだ中国での発禁本に、本土からの観光客も手を伸ばしていた。しかし最近、香港の出版界でも、中国当局の圧力が指摘されている。

 ▼中国共産党に批判的な本を取り扱う、香港の書店の関係者5人が、昨年10月以降、相次いで失踪している。そのうちの一人の男性は、「倉庫に行く」と出かけたまま行方不明となった。まもなく妻に電話があり、発信地は中国本土の広東省だった。5人は治安当局に拘束されているのではないか。関係者の間で、不安が広がっている。

 ▼香港には、1997年に英国から中国に返還された際に採用された「一国二制度」のもと、「言論の自由」が保障されているはずだ。中国政府の禁書政策がそれを踏みにじっているとすれば、ゆゆしき事態である。

「ニュース」のランキング