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【産経抄】日本人のサル化が進んでいる… 1月4日

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【産経抄】
日本人のサル化が進んでいる… 1月4日

 両親はともに社会のリーダーとして活躍し、しかも容姿端麗とあって、周囲の愛情に包まれて育った。かたや貧しい家に生まれ、数々のいじめに遭う。対照的な運命を背負った、同い年の女性の生涯をたどる。

 ▼昼メロドラマならではの愛憎劇のようだが、今年の干支(えと)、サルの世界の話である。2日、BSフジで放映された『北限に生きる』は、青森県の下北半島に生息するニホンザルの群れを、24年間も観察した記録だった。

 ▼最も高位の家系に生まれた「スズラン」は、その後も順風満帆の暮らしが続く。低位の家系の「カキラン」は、大人になっても、オスザルから相手にされない。格差の固定化が指摘されて久しい、人間社会を見ているようでつらくなる。

 ▼いや、サルが人間に似ているのではない。人間がサルに退化している。比較行動学のサル学者、正高(まさたか)信男さんは、『ケータイを持ったサル』(中公新書)で、こう喝破していた。

 ▼ケータイで常に仲間とつながろうとする。周囲とコミュニケーションがうまく取れず引きこもってしまう。両者は公の世界を拒否して、私の世界の中だけで生きようとする点で共通している。一部のオスを例外にして、自分の生まれた集団に一生とどまるニホンザルと変わるところはない、というのだ。この本がベストセラーになった前回の申年、平成16年に比べて、スマホを持った日本人の「サル化」はさらに進んでいる。

 ▼2匹のサルは、どんな晩年を迎えたのか。取材班は昨年、「スズラン」の所在を確認できなかった。「カキラン」は、群れの最長老としてそれなりの地位を得ているようだ。気持ちよさそうに、若いオスに毛づくろいをさせていた。「サル化も悪くないよ」と言わんばかりに。

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