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【日の蔭りの中で】日本はグローバルな大競争の中で精神の余裕を失ってしまった… 佐伯啓思

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【日の蔭りの中で】
日本はグローバルな大競争の中で精神の余裕を失ってしまった… 佐伯啓思

 15日付の「正論」欄に日本思想史研究者の先崎彰容氏が「微笑の喪失」という文章を書いておられた。戦争終結後しばらくして奈良に遊んだ亀井勝一郎は、中宮寺の如意輪観音のあの静かな微笑に強く惹かれる。敵を罵倒し、見せ掛けの勇ましさが闊歩し、動脈硬化を起こしたような精神が支配したあの戦争のなかで、日本人はこの微笑を忘れてしまっている、というのである。先崎氏は亀井に共感しつつ、今日、われわれもまた微笑を喪失しているのではないか、と書いておられる。

 確かに、この時代、われわれは、右であれ左であれ、自分と異なった意見には耳を傾けず、国会前であれ国会内であれ、大声で自己主張をし、中国・韓国に罵声を浴びせ(また、先方からも罵声が飛んでき)、ツイッターやLINEで気に入らない者を誹謗し政治家であれ企業の幹部であれ学校の先生であれ、失態とみれば、すぐに責任を取れとばかりにつるし上げる。こういう時代にはなってきた。

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