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【一筆多論】地政学が左右したインド新幹線 井伊重之

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【一筆多論】
地政学が左右したインド新幹線 井伊重之

 インド高速鉄道の建設計画をめぐり、日本の新幹線が採用されることが決まった。インドネシアで中国に逆転負けを喫した直後の大型成約だけに、鉄道関係者の喜びは大きい。今回の受注には、日本の高度な新幹線技術が認められたことはもちろんだが、何よりもインド側の外交姿勢の変化が大きく影響したという。

 日本の受注が内定したのは、インド最大の都市ムンバイと工業都市アーメダバードを結ぶ約500キロの高速鉄道路線だ。最高時速320キロで走り、所要時間は現行の8時間から2時間程度にまで大幅に短縮される。

 日本ではJR東日本や日立製作所などが企業連合を結成し、新幹線の車両や線路だけでなく、信号などを含めた運行管理システムと一体で受注したい考えだ。約1兆8千億円の総事業費の大部分に対し、日本は償還期間50年で年利0・1%という過去に例のない破格の条件で円借款を供与する。

 また、今回の商談では、インド国内における在来線の近代化や高度化に協力する契約も結んだ。これだけでも10兆円に相当する受注機会があるとみられており、国土交通省は日本の鉄道技術の採用を働きかける構えだ。

 日本の企業関係者は「日本の新幹線は中国製に比べて4割以上も高い。それでもインドが日本製を選んだのは、モディ首相が伝統的な『等距離外交』を転換し、日本との協力関係を強化することを選択したからだ」と明かす。

 安倍晋三首相がインドを訪れてモディ首相と握手し、経済・安全保障分野の関係強化をうたった2日前のこと。インドのパリカル国防相が訪米し、カーター国防長官と会談した。そこではインドによる国産空母の建造に米国が協力することで合意した。カーター長官は「両国にとって歴史的な一歩だ」と評した。

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