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【産経抄】食いものは一日で無くなる 12月11日

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【産経抄】
食いものは一日で無くなる 12月11日

 ▼空襲で両親を失い、洞穴に暮らす幼い兄と妹の物語である。やせ衰えた妹が、兄を相手にままごとを始める場面がある。「手近の石ころ二つ拾い、『兄ちゃん、どうぞ』『なんや』『御飯や、お茶もほしい?』」。ほんの2カ月前まで、兄妹の母親は桃を砂糖で煮て、カニ缶を開けてくれていたというのに。

 ▼昨日、野坂さんの訃報が届いた。85歳だった。「食いものは一日で無くなる」。焼け跡闇市時代の飢餓体験を片時も忘れなかった野坂さんは、飽食の時代が続くのを疑わない日本人に、警鐘を鳴らし続けた。

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