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【正論】もしISが大量破壊兵器を手にしたら…テロリストに妥協の余地はないとなぜ分からぬか? 田久保忠衛(杏林大名誉教授)

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【正論】
もしISが大量破壊兵器を手にしたら…テロリストに妥協の余地はないとなぜ分からぬか? 田久保忠衛(杏林大名誉教授)

 ≪「天下大乱」の兆しも≫

 国際政治に国際テロリストという、国家ではない歴史上初めての主役が加わった場合、国家関係だけの分析では無力だ。好例は、米欧諸国とロシアのシリア・アサド政権をめぐる対立だ。ロシアによるIS攻撃は、アサド政権存続を企図したものだと疑いを深めていた米欧諸国は、今回のパリ同時多発テロを契機にロシアとの話し合いの場を増やし、仏露関係は「同盟」に早変わりした。

 国家ではない「共通の敵」の登場による合従連衡であろうか。事件直後にトルコで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会議の議題はもっぱらテロ事件であった。南シナ海もウクライナも影が薄れた。欧州連合域内で自由に人間の通過を認めるシェンゲン協定の見直しを求める声が強まっている。テロ犯人、武器が自由に動く社会でいいのかとの反省だ。

 移民に反対するフランスのルペン国民戦線(FN)党首ら欧州右翼の声は高まっても低くなることはない。難民に直接関係のない米国のライアン下院議長まで「難民を受けいれるとの思いやりをテロリストに利用させるわけにはいかぬ」と述べ始めた。まさに「天下大乱」の兆しではないか。

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