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【産経抄】朴槿恵大統領の耳は■■の耳なのか? 10月21日

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【産経抄】
朴槿恵大統領の耳は■■の耳なのか? 10月21日

 「王様の耳はロバの耳」の物語は、韓国にも伝わっている。王様の秘密を知るのは、理髪師ではなく、帽子職人である。王様に命じられた通り、長い耳が隠れるような大きな帽子を献上した。

 ▼耳について口外すれば、即刻首をはねられる。秘密を話したくても、話せない。我慢の末に病気になった職人は、誰もいない竹林に入り、大声を張り上げる。「王様の耳は、ロバの耳!」(『韓国昔ばなし』白水社)。

 ▼韓国の朴槿恵大統領に対する名誉毀損罪に問われた、小紙の加藤達也前ソウル支局長の裁判が結審した。ことの始まりは、昨年4月に起きた旅客船セウォル号の沈没である。大惨事の当日、大統領は一体どこで何をしていたのか。なぜか王様の耳のような、秘密になっていた。検察側は、それに触れた加藤記者のコラムを、大統領への誹謗と断じ、懲役1年6月を求刑した。

 ▼物語には続きがある。職人の死後、風が吹くたびに、竹林からなにやら声が聞こえてくる。王様の耳について噂が広まり、知らない者はいなくなった。

 ▼日本語で日本の読者に向けて書かれた加藤記者のコラムの内容が、本来、韓国で広まるはずがなかった。告発の対象となったのは、無断で韓国語に意訳された記述である。証人の一人、米国人記者が指摘する通り、「大統領府の過剰反応」が、裁判の本質だった。

 ▼加藤記者の乗った車には、生卵がぶつけられた。別の裁判では、法律より反日の国民感情を優先しているとしか思えない判決が出る。そもそも、この国に言論の自由はあるのか。裁判の過程で、異様な国の姿を伝える声が、竹林から聞こえてくる。判決公判は、来月26日。被害者であるはずの大統領が沈黙するなか、その声は大きくなるばかりであろう。

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