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【産経抄】謎だらけの中国 10月2日

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【産経抄】
謎だらけの中国 10月2日

 「面壁一年」。文化大革命下の北京で過ごした1年を、小紙の故柴田穂(みのる)記者は、こう表現していた。地方に出かける許可が下りない。共産党の幹部は、誰もインタビューに応じない。ならばと、毎日何百枚と張り出される壁新聞をひたすらボールペンで写し取っていた。

 ▼そんな柴田記者が、当局から国外退去処分を受けた理由は、「反中国活動」だった。もちろん、身に覚えがあるはずもない。文革の実相をあぶり出す連載が始まるのは、帰国直後からである。それから31年間、小紙北京支局の閉鎖が続いた事情は、長年の読者はご存じだろう。

 ▼中国で日本人男性2人が、今年5月に当局から逮捕されていた。さらに北京でも今年6月、別の日本人が拘束されている。いずれも、スパイの疑いがかけられているそうだが、一体どんな行為がとがめられているのか。

 ▼中国南西部の広西チワン族自治区で起きた、連続爆発事件の背景も不明である。発生は、建国66周年を祝う国慶節の前日と当日だった。現場となった自治区は、中国政府に弾圧されているウイグル族の国外脱出のルートにあたる。テロの可能性はない、との公安当局の発表を素直に信じるわけにはいかない。

 ▼柴田記者は、かつて「中国報道の面白さは何ですか」と聞かれて、こう答えている。「謎解きの面白さだな。権力内部は秘密だらけだからね」。文革が終息してから、40年近く経(た)つというのに、中国の本質は変わっていない。

 ▼そんな国から、国慶節の休暇を日本で過ごそうと、今年も大勢の観光客がやってきた。6月の株価の暴落にもかかわらず、「爆買い」の勢いは衰えていないという。彼らの屈託のない笑顔を見ていると、中国が、ますますわからなくなってくる。

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