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【正論】成立「安保法制」 安保の歪み正した首相の指導力 杏林大学名誉教授・田久保忠衛

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【正論】
成立「安保法制」 安保の歪み正した首相の指導力 杏林大学名誉教授・田久保忠衛

 国際情勢に関する知識が皆無なのが分かってしまうにもかかわらず、「憲法違反は許さぬ」など謙虚さに欠ける発言を公にした憲法学者、最高裁元長官・判事、内閣法制局元長官、防衛省元高官らの発言は思い出すだにおぞましい。最近まで中国大使を務めてきた人物が「違憲とする学者の言う通りだとすると、審議している国会そのものが憲法違反になってしまう」と記者会見で述べていたが、日本は珍妙な意見がまかり通る時代に逆戻りしているのだろうか。

 ≪国際的な意味理解しない反対者≫

 安全保障観で日本と対照的な国を例に挙げる。イスラエルは、サダム・フセイン大統領が独裁者として勢威をふるっていた1981年にイラクの原子炉を、2007年にバッシャール・アサド大統領が君臨するシリアの核施設をいずれも急襲して完全に破壊してしまった。イラクもシリアもイスラエルの存在そのものを認めておらず、その両国が核兵器を持つ以前に「先制的自衛」をしたのだとイスラエルの指導者は公言した。

 イスラエルがイラクとシリアの主権を侵害したのは間違いない。が、憲法や国際法よりも生存がイスラエルにとっては大事なのだ。歴史も周辺の環境も異なる日本がこの国のまねをすべきだとは言わないが、安全保障の極限が分からないとイスラエルを誤解する。

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